Joruriは日本で開発されたCMSです。自治体サイトの構築のために開発されたという点が、他のCMSと大きく異なります。
自治体サイトを閲覧するのは、主にその自治体に住んでいる方です。よってJoruriは他のCMSとは違う特徴を持ち合わせています。
そこで今回はJoruriにはどんな特徴があるのか、基本操作や作成したサイト例などを交え、具体的にご紹介していきましょう。自治体サイトの構築やCMSに関わる方は、ぜひ参考にしてみてください。
Joruri (ジョールリ)とは?基本情報について
自治体サイトの構築や運用を気軽にできるCMSはほとんどなく、元々は徳島県のサイトを再構築するために開発されたCMSです。
汎用的に他の自治体でも使えるように、設計の段階から操作性や機能が検討されました。
Joruriと名づけ、徳島県のサイトリニューアル後にはオープンソフトウェアとして公開。改善も行なわれ、自治体サイトに役立つプラグインも追加されているCMSです。
Joruriという和風な名称は、「Japan Originated Ruby-based RESTful and Integrated CMS」の頭文字をとって名づけられました。
人形浄瑠璃で人形遣い、伴奏する三味線、物語を語る太夫の3役が支えているように、「ホームページを支える」という意味もあります。
Joruri (ジョールリ)の基本操作
Joruriは管理画面でドメインやデザインの設定、記事 (コンテンツ) の作成などを行ないます。
自治体サイトの記事作成に必要な項目がそろっているのが、大きな魅力です。記事作成時に子育て・環境などの「分野」、イベント情報・届出などの「属性」を選べます。
記事に関連のある地域を選択したり、イベントカレンダーに記事を掲載したりすることも可能です。
Googleマップを利用し、必要に応じて印をつけることもできます。イベント会場や観光地を伝えたいときに便利です。
視力の弱い方も読みやすいように、標準機能として文字サイズと背景色の変更機能も備えています。管理画面から変更できます。
Joruri (ジョールリ)でつくったサイト例
Joruriは自治体サイトを構築、運営するために開発されたCMSです。つくられた自治体サイトは2020年1月27日現在、90以上にのぼります。
Joruriを開発するきっかけとなった徳島県は特に多く、15の自治体サイトで利用され、代表的なものは「徳島県農業開発公社」「徳島大学・美波町地域づくりセンター」のサイトです。
他にも北海道から沖縄まで、さまざまな市町村の自治体サイトの作成に使われています。
高知県庁のサイトリニューアルにもJoruriが使用され、約3万ページと大規模な量のコンテンツを移行した実績があります。
Joruri (ジョールリ)のインストール
Joruriは無料で利用でき、GitHubにてソースコードを公開しています。公式サイトの「ダウンロード」のタブをクリックすると、GitHubのURLを確認可能です。
GitHubのページに移動すると、次のような画面が表示されます。
緑色の「Clone or download」をクリックすれば、デスクトップ保存、ZIPファイル保存か選べます。
JoruriはRuby言語を使用しているため、Rubyのインストールも必要です。
他にWebサーバソフトウェアの「Apache」、データベース管理システムの「MySQL」もインストールします。どちらもオープンソースで開発され、無料で利用可能です。
なお詳しいインストール方法はGitHubページの下部、「手動インストールマニュアル」から確認できます。
Joruriはもちろん、RubyやApache、MySQLのインストール方法まで丁寧に書かれています。記事のふりがな機能、読み上げ機能が必要な場合は、別途インストール作業が必要です。
Joruri (ジョールリ)のプラグイン
Joruriは設計段階から、自治体サイトを構築するためにつくられたCMSです。Joruriにはプラグインを入れなくても、サイト構築や運営に必要な機能が備わっています。
ふりがなや音声読み上げ、外国語対応、年間行事カレンダー作成など、自治体サイトならではの機能はプラグイン不要で利用可能です。
「地理情報プラグイン」を利用すれば、地理情報の管理・公開ができます。地理院地図やGoogle Mapへの切り替えも可能です。
「地理情報プラグイン」はJoruri CMS 2017のプラグインで、オープンソースではあるものの、有償で配布しています。注意しましょう。
Joruri (ジョールリ)のテーマ (テンプレート)
Joruriで「テンプレート」のアイコンをクリックすると、使いたいものを選択できます。ただしあらかじめテンプレートの用意が必要です。
ベースとなるHTMLテンプレートに、コンテンツもしくは「ピース」と呼ばれるパーツを組み合わせると、サイトのデザインを変更できます。
ピースの編集・作成は管理画面で行ない、トップページに画像を設定することも可能です。
前もって、大規模災害時用のレイアウトを登録することもできます。サンプルのテンプレートが入っていますが、変更可能です。
Joruri CMS 2017では、記事作成用のテンプレートを作成できます。HTMLで編集できるため、あまり難しい知識はいりません。ラジオボタン形式の回答フォーム、ファイル添付可能など、「アイテム」の新規作成も行なえます。
Joruri (ジョールリ)のセキュリティ
Joruriでは「編集権限」において、編集できるグループとユーザの設定ができます。グループでは企画部、広報課など特定の部署の選択が可能です。
編集権限をもつユーザが記事を作成すると、「下書き保存」「承認待ち」のボタンが表示されます。管理権限があれば、さらに「公開保存」のボタンがあらわれ、クリックすればすぐに公開可能です。
記事の承認・公開方法は「2段階認証」、「複数人による認証後に公開」など複数あります。承認を得てから記事を公開する設定にすれば、不適切な内容を載せてしまうミスを防げるため安心です。
なおoururiでは、新しいバージョンを随時GitHubに公開しています。古いバージョンの機能改善やセキュリティ対応はやがて終了し、いったん終了すると更新を行ないません。
しかし更新終了後でも、開発元のサイトブリッジ株式会社が有償対応を請け負う場合もあります。
Joruri (ジョールリ)のよくある質問
ここでは、Joruriのよくある質問をご紹介します。
記事やディレクトリページに、PHPのスクリプトを埋め込めますか?
出力するHTMLファイルがPHPで動作できる環境設定なら、仕組み上では可能です。しかしTinyMCEを使うヴィジュアルエディタではPHPタグが除去され、入力できません。
事前にデータテキストやピースにPHPスクリプトを記し、参照して表示すればPHPの動作が可能です。
スマートフォン用に記事のレイアウトを変えられますか?
管理画面の「デザイン」内にある「レイアウト」で、スマートフォンサイトのレイアウトを変更できます。携帯電話 (ガラケー) 用のレイアウトも別途変更可能です。
Joruri (ジョールリ)のまとめ
Joruriは自治体サイトを構築するためにつくられたCMSで、便利な機能があらかじめ入っています。別途プラグインをインストールしなくても使いやすく、承認や編集権限の設定も容易です。
HTMLの知識があれば、記事の作成や運営には困らないでしょう。オープンソースソフトウェアのため無料で利用でき、コストを抑えられるのも魅力です。
自治体サイトを構築するなら、Joruriをおすすめします。ぜひ検討してみてください。